タイトルに惹かれてつい手にとってしまった
内館牧子さんの「終わった人」、読み終わりました。
家事もほっぽりだして、読みふけってしまうほど面白かったです。
終わった人とは
自称「終わった人」の主人公は、定年とはいえ
まだまだ心身ともに健康な63歳。
高学歴で仕事一筋だったエリートサラリーマンが、
定年後どんな生活を送っていくのかが描かれています。
わたしより上の世代の人たちのお話しですが、
主人公の学生時代や、企業戦士として働いていたサラリーマン時代のことなど
本を読みながら、時代の流れの変化が懐かしく思い出されました。
定年後夫婦ふたりきりになったらあなたはどうしますか?
今まで毎日遅くまで仕事に行っていた夫が
家の中ですることもなく、毎日ゴロゴロしていたら…。
そして自分も仕事を持たず、行く場所もないとしたら…。
新婚時代は、いつも一緒にいたい、何処へでも一緒に行きたい
と思っていた夫。
一日中一緒にいられる日がうれしくて、一緒にいる違和感なんて
全くなかったのに。
子供が生まれ、一緒に連れ添う時が重なるにつれ
「たまには一人だけでどこかへ行きたい」
「もっと自分だけの時間が欲しい」と
夫との距離をとりたいと感じることが多くなるなんて
不思議ですね。
ちょっとした価値観の違いや、コミュニケーション不足からくる誤解などが
少しずつ積み重なって、見えない壁を作ってしまっているのかもしれません。
とはいえ
星の数ほどいる人たちの中から
縁あって一緒になったパートナーですから、
きっと自分の人生にとっては、とても必要な人のはず。
老後も一緒に駆け抜けていくためには
小さな傷は修復しつつ、そして壁が高くなり過ぎないように注意して
共に進んでいくことをまだまだ学んで行かなければなりませんね。
夫婦の感情の違い
物語の中の夫婦の会話から
長年連れ添った夫婦の感情の違いが、よく読み取れます。
妻から夫に対する言動について
「あ~わかる、わかる」と共感できるとともに
夫が妻の言動から感じる気持ちについて
「そういう風に言われると嫌なのね」と
参考になる部分がたくさんありました。
さすが内館さん、会話の描写が絶妙です。
60代は、老後の生活がさらに現実味を帯びてきますね。
50代のうちに
「話に聞いてはいたけど、やっぱりうちもそうなったか」
なんてことになるかならないかは、
これから始まる50代をどんな風に過ごしていくかで
変わってくるのだと思います。
それにはまず、自分の色(やりたいこと)をしっかりと見つけること。
特に老後は、自分のやりたいことがあるかないかで
日々の生活が違ってくるのではないかと感じました。
50代からやりたいことを見つけるなんて遅いと言われそうですが、
50代の今だからこそ、やりたいことを見つけておくべきだと思います。
人との絆
歳を重ねるごとに感じる人との絆。
小学校時代からの友達とは、もう40年以上のお付合いになります。
素のままの自分を知っている人と、長く繋がっていられるのは
ホントにうれしいことですね。
そう言った意味でも、わたしにとっては地元の友達はとても大事です。
老後はこの人たちとの集まりが、今よりずっと多くなることを心から
楽しみにしています。
まとめ
終わった人は、あるサラリーマンの老後を描いた小説ではありますが、
リアルな世界でも、主人公と同じような人は、きっとたくさんいるのだろうなと
感じました。
アラフィフのわたしたちにとっても
まだまだ先のようであって、あっと来てしまうであろう老後の生活。
自分の老後はどうありたいか、改めて考えさせられるような物語でした。
本はちょっと分厚いですが、文字も大きめで文章もテンポよく
とても読みやすいです。
アラフィフみなさんに、是非読んで欲しい一冊です。
終わった人 内館牧子著
今日もお読み頂きありがとうございました。
ではまた